秘密基地
わが家は妻・小学校5年生の長女・幼雅園年長の次女の4人暮らし
2LDKなので4帖半の部屋を子供の勉強部屋にし、6帖の部屋で全員そろって寝ていた
しかし6帖といってもタンスや鏡台、本棚など物がいっぱいで布団を2枚敷くのがやっとの状態

子供に聞いてみると自分の部屋で寝ている友達も随分いるようだが、うちは怖いから一緒でいいと訳の解らない事を言っている

どちらにしてもこのままでは窮屈でしかたないが、子供部屋を見渡しても布団を敷くスペースなどどこにもない
机が2つ、タンスに本棚、UFOキャッチャーにはめられた景品の数々、そしてたまにしか使わない電子ピアノなど捨てる事がきらいな我が家は、当然のように寝る場所もなくなっていた

空間として見ても空いているのは通路と机の上だけ
机の上で寝てみたらといっても何の解決にもならない
机の上をベッドにでもするかと苦しまぎれの発想だった
家族会議(といってもだだの雑談)でも可決された


まずいろいろ調べてみると2段ベッドで下に机がすっぽり入ってしまうものがずいぶん市販されていた
ロフトベッドというものだ
とても良くできているしかっこ良くいろいろなパターンが選べるようになっていた
自分でもほしくなるものがいっぱいあった
材質も様々で好みのものがあれば自分だけの空間を確保できる感じで凄くいい

全員B型である我が家はいつものように勝手にイメージを膨らませ、あれがいいこれがいいとバラバラな事をいい始めていた
みんなが自分のものをイメージしてしまっている



落ち着いてどれにしようかとそれぞれの特徴などを比べながら、ふと小さな子供部屋あてはめてみるとどうもうまく納まらない
4帖半の部屋にたくさんの物があり、しかもマンションは鉄筋コンクリートのラーメン構造(専問用語)の為、柱や梁が出ていて、クローゼットの扉、入口の扉、エアコンなどいろいろな位置関係を考えると設置は不可能だった
とんでもない事に気づいてしまったがというより気づいて良かった

話合は既に盛り上がってしまっているので何とかしなくてはならない
やっぱみんなで作ろう
結局夢のような話し合いはこうして結論を出したのだった




まずイメージ作りから

どうせ作るなら子供たちが喜ぶようなものにしてやろうと思った
自分で子供の頃を振り返ってみて、やはり昔は木の上にあるかくれ家みたいなものにあこがれていたので、そんなイメージで作る事にした
そして2人とも小さい頃からダンボールが大好きでボロボロになるまで中に入って遊んでいた
将来こういう家に住むようにならないで欲しいと心配しながら見ていたが、もしかすると狭い方が落ち着いていいのかもしれないと思うようになった

えういえばプレコという魚がいてデリケートな一部の種類では、安心して産卵できて落ち着く環境をつくるには、背びれが僅かに触れるくらいの高さの狭いかくれ家を用意すると良いというのを思い出した
どうせ子供も魚も自分にとって大事なかわいいものに変わりはないから、天井すれすれにベッドを作ってしまおうという事でイメージは固まった

レイアウトには選択の余地がなかった
部屋は鉄筋コンクリートのマンションで4帖半
しばらくは姉妹一緒に寝てもらうのでセミダブルくらいの大きさが欲しい
一番大切なのは下に2人の勉強机がすっぽり入る事
しかし入口の場所、エアコンの場所、クローゼットの場所などを考えると以外と複雑になってしまった

これでは既製品のかっこいいやつなど全然無理だったが、だからこそフルオーダー(ただの手づくりとも言うが)のべッドの真価が発揮されるのだ
かといって不用になった時にはだれも引きとってくれないのでなるべく予算は押さえるようにしなければならない
これがフルオーダーの注意点のなのだ



材料集めは今まで使った材料の余りがずいぶんあったのでなるべく使うように考えた
そして足りない物を近くのホームセンターで調達
基本はツーバイフォーの材料
何といってもこれが一番安い
ツーバイフォーの家をつくる時の基本の材料だが仕上材(目で見えるところに使うもの)ではないのでなるべく奇麗なものを選んだ
そして必要なビスなどを購入した

会社の休みは日曜日と隔週の土曜日なので連休になる日を狙って作業日とした
準備万端で向かえた当日の土曜日、天気も良くついつい遊びに行ってしまった

(これは日曜大工さんには良くある事)

作業開始は夜の10時
延期しようかと思ったが2週間延ばすと用意した材料も部屋の外に出した荷物もそのままになってしまうので、とても許される事ではなかった
一応子供に聞いてみるとやってみようと言うので作業に取り掛った

作業員は疲れた日曜大工さんと助手は眠そうな長女のニ人でちょっと心配
当然下の子は疲れて寝てしまった

始めのうち助手の長女もどんなものが出来るか解らないので、材料を押える手にもあまり気合が入ってはいなかった
しかし柱が立ち形が見えてくると何となくイメージが出てきたのかだんだん目が輝き出した

12時を過ぎた頃日曜大工さんはすっかり眠くなってしまった
ふと子供を見ると眠いはずなのに気合を入れて材料を握りしめていた

この子は熱中しやすいタイプでしかも言い出すと聞かないなのでとても心配になった
恐る恐る聞いてみる
もう寝よう
すると怒った口調で 「いやだ!

日曜大工さんはマイペースで無理せず作業をしなければならないのだが、こうなっては仕方がない
更に今日はこのべッドで寝るとまで言っている
それはどう考えても不可能なので言い聞かせ、明日はや起きして続きをやるからと約束し寝る事にした




翌日いつもなら蹴飛ばしても起きないはずの娘が“やるぞ”の一言で飛び起きた
超びっくり
そしてトントンやっていると迷惑そうに昨日早く寝てしまった女房と次女が眠い目をこすりながら起きてきた
何これ
とびっくりした様子
“これあたしたちが作ったんだよ”
長女はちょっと自慢げに話した
床貼りが終わると絶対動かないという条件つきで上らせることにした

なにせ乗せろ乗せろとうるさくて仕事にならないのだ
しかし手摺がつくまでは危険なので約束させた
いつもは言うことを聞かない二人だがこういう時はとても素直
そして手摺とはしごを設置して無事完成

改めて見てみると思いどおりできたが、あまりに天井が近すぎる気がした
子供たちの寝ている姿をみても凄い光景に感じる
しかし二人は大喜びだった
もうすでに遊びだしてしまっているふたりは、ここを秘密基地だと言っている
隠れ家というイメージを子供ながらに感じ取ったのだろう
とりあえず大成功だった

机を設置し電気をつけついでに余った材料で本棚をつけてあげると秘密基地は完成した

ロフトベッド
あの部屋はなんか怖いとか言っていた子たちはその日から自分の部屋でいい子に寝るようになった
2枚のふとんに4人でぶつかりながら寝ていたのが突然1人1枚のふとんに収まると、あたりまえのはずがちょっぴり寂しい気がした
たまには一緒に寝ようねと言っても、上の空の子供たちはきっとこうしてどんどん成長していくのだろうとつくづく感じてしまった

結局思いどうりに完成はしたが、このベッドの作成はあまりお勧めできるものではなっかた
意外とお金も時間もかかるし何しろ簡単には出来ない
家が狭いためやむ終えずそしてそのすべてを楽しむならそれはいいが、気に入ったものを購入してわいわい組み立てて使うというのがいいのではないかと思った

  いろんなタイプのロフトベッド


ちなみに子供に欠点はと聞くと “夏暑い事” だそうだ
なるほどね


ロフトベッド2

こんな感じで手前にもう1つ机が置いてある
あっと言う間にこんなに物があふれてしまった


イラスト